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『機甲猟兵メロウリンク』(きこうりょうへいメロウリンク)は、1988年から1989年にかけてバップから発売されたオリジナルビデオアニメーション(OVA)。全12話。
テレビアニメ『装甲騎兵ボトムズ』の外伝に当たる作品であり、世界観を共有している。
『機甲猟兵メロウリンク』は、ロボットアニメでありながら主人公がロボットを操縦しない異色の作品である。これはベースとなった『装甲騎兵ボトムズ』の作品世界に登場する人型二足歩行兵器ロボットアーマードトルーパー(以下ATと略する)の全高が4メートル前後と非常にコンパクトであり、生身の人間がATと1対1で接近戦を行うことが可能で違和感が無いことが大きい。
主人公メロウリンクは、AT対人間という圧倒的なハンディキャップを、ある時は地の利を活かし、またある時は周到に罠を仕掛けることによって、この戦力差を埋め勝利を得る。
いわゆる「主役メカ」こそ存在しないものの、本作品には敵役の登場人物達が駆る機体として、多彩なカスタムATが登場。『ボトムズ』本編中に登場したドッグ系ATなど各機種をベースに、個性的なバリエーション機がいくつかデザインされた。メカニックファンにはガンダムシリーズにおける『MSV』的な楽しみがあり、本作品の見どころのひとつである。
全12話のストーリーのうち、前半6話は1話完結、後半6話は連続物として展開する。
基本的には『装甲騎兵ボトムズ』本編の世界観に準拠して脚本が書かれているが、キリコ・キュービーの物語で描かれたような荒み切った世の雰囲気はかなり薄められている。また、純SF的な未来世界、異世界風の建物や乗り物も登場せず、第二次世界大戦ばりの「ハーフトラック」や「装甲列車」が登場したり、モブキャラの服装も現実の19〜20世紀のヨーロッパの民間人のようなものになっている。また、ヂヂリウムは天然鉱物として扱われており、ポリマーリンゲル液にはガソリンのような高揮発・高発火性物質であるという後付け設定が加わえられた。
あらすじ
ギルガメスとバララント両国家によって展開された百年戦争の終結間近、濡れ衣という形で軍上層部の陰謀に巻き込まれた少年兵士メロウリンクは、戦友たちを死に追いやり、自らをも陥れた士官たちへの復讐の旅に出る。その後に待ち受ける過酷な運命も知らず……。
登場人物
メロウリンク・アリティー
声 - 松本保典
17歳。元第18メルキア方面軍プランバンドール機甲大隊シュエップス小隊所属。階級は伍長。愛称は「メロウ」。
友軍の撤退陽動作戦における唯1人の生存者。小隊の最期を軍の記録に残すという一念で帰還を果たすも、略式軍事法廷にかけられ、後に「プランバンドール・スキャンダル」と呼ばれる敵前逃亡・物資強奪事件に関わる無実の罪を着せられたことに逆上し脱走。死んでいった仲間たちの名誉を守る為、小隊の装備であった旧式の対ATライフル1丁を武器に、偽証した元機甲大隊の将校たちを捜索・復讐する旅を続けている。復讐のターゲットに対しては、脱走時に奪った仲間の認識票を事前に何らかの方法で提示し、相手に「復讐の対象である」ことを知らしめる。また、とどめを刺す際にはしばしば己の血(もしくはそれに類するもの)で横縞のフェイスペイントを施す。
過酷な戦場においても決して弱音を吐かない精神的な強さと、重さ30キロ以上の対ATライフルを片手で楽々と取りまわす強靭な肉体を持っている。性格はどちらかといえば大人しいが無口というわけではない。小隊長のシュエップスにはその真面目な人間性から普段から可愛がられていたようで、メロウリンクもまた部下の人望厚いシュエップスを慕っていた。作中、プランバンドール・スキャンダル以前は、仲間を生かすために自分が犠牲になることを納得できずとも潔く受け入れていた表現があり、軍務には忠実であったことが窺われる。地の利と想像力を生かしたゲリラ戦術が得意。
標的の1人・ドックマンを狙ってザキ基地に潜入した際にルルシーやキークと出会い、ルルシーの機転で助けられたことで縁が出来た。その後旅先でルルシーと度々顔を合わせるうちに徐々に心を通わせるようになるが、男っ気ばかりの中で長いこと過ごしていたこともあり女性の相手はあまり得意ではない。旅路の果てにルルシーが思いもよらず自分の復讐行に間接的に関わりある人物であることが判明し、以後行動を共にする。
ルルシー・ラモン
声 - 玉川紗己子
年齢不詳(企画書によれば18歳から20歳)。流れ者のカードディーラー(第6話では手品も披露している)。
ザキ基地においてドックマン、キークとカードゲームに興じていたところ基地に潜入したメロウリンクと運命の出会いをする。出会った当初はメロウリンクのことを「坊や」と呼び「ちょっと気になる年下の男の子」程度の感情しかなかったが、その後旅先で度々会ううちにメロウリンク本来の人柄と背負った運命を理解し復讐に協力するようになり、その過程で徐々に心の中で1人の男性として惹かれ始める。
本名はフルレル・C・ヘルメシオンといい、メルキアのカビア貴族出身のお嬢様。しかし父は銃の暴発による事故死、母は後を追うように自殺し、以来天涯孤独の身。元プランバンドール機甲大隊のヘルメシオン准将(後述)は叔父に当たり、私欲のために父を陥れ財産や家名まで取り上げた首謀者と睨み毛嫌いしている。
キーク・キャラダイン
声 - 大塚明夫
25歳。メルキア方面軍の情報将校で階級は中尉。ギルガメス軍上層部の特命を受けプランバンドール・スキャンダルに纏わる謎を追っている。
たびたびメロウリンクの前に現れては協力しているような素振りを見せているが、実はバッテンタイン中将(『ボトムズ』の登場人物)直属の暗殺者で「死神」と呼ばれている。メロウリンクを利用してスキャンダルの証拠を処分し、更に真実を話そうとしたヘルメシオン准将を暗殺した。最後はメロウリンクと対決して敗北する。
メロウリンクが仇として追う人物たち
ドックマン
声 - 永井一郎
第1話に登場[1]。元プランバンドール機甲大隊所属大尉で、惑星ミヨイテの辺境にあるザキ基地の司令官。最前線の基地を任されている割に昼間からカードゲームに興ずる。頭に血が上りやすく、戦況もろくに見ず無茶な命令を下すことが多かったことから元々部下からの人望は薄かったようで、メロウリンクの告発が基地の館内放送に流れると最後の信頼も無くした(同士討ちの可能性も考えず発砲し部下を射殺した事やメロウリンクへの周りの被害を全く顧みない攻撃などといった暴挙も一因である)。メロウリンクの挑発に乗せられた結果、自らスコープドッグ(スコープドッグドッグマン機)で出撃する羽目に陥る。
ギャルビン・フォックス
声 - 納谷六朗
第2話と第5話に登場。元プランバンドール機甲大隊所属中尉で、港町タ・ビングでバトリングのスター選手「メルキアの銀狐」としてその名を馳せている。そのリングネームの通り銀色に磨き抜かれたスコープドッグを愛機とし、その両腕にはアームシールドと呼ばれる追加装甲を装着している。試合に勝利した際には対戦相手をコクピットから引きずり出し、ATの腕で握りつぶすパフォーマンスを行う。性格はキザで典型的なナルシスト。メロウリンクに「人間対AT」の変則リアルバトルを仕掛けられ、迎え撃つ。
スヌーク
声 - 加藤精三
第3話に登場[1]。元プランバンドール機甲大隊所属少佐。過去の自分を消してスタブロスという偽名を使い、クメン地方(『装甲騎兵ボトムズ』第2クールの舞台)の一大荘園主として君臨していた。ゴメスら、かつての部下を従えてATによるゲリラ狩りを趣味とし、ゲリラ狩りの後には年代物のワインを嗜む。踵の部分に大型のグライディングホイールを装備したスタンディングトータスに搭乗する。
ゴルフィ
声 - 若本規夫
第4話に登場。元プランバンドール機甲大隊所属軍曹で、メロウリンクにとってはゲリラ戦の教官でもあった。メロウリンクの復讐行を知り、墜落破棄された宇宙船に罠を仕掛けてメロウリンクを誘導、逆に先手を取って抹殺しようとした。本編ではATに搭乗しない。作中の台詞からキークの正体にある程度気付いているフシがある。
バンス
声 - 仲木隆司
第6話に登場[1]。元プランバンドール機甲大隊所属少佐で、孤島に建つドッパー軍刑務所の所長。囚人として刑務所に潜りこんだメロウリンクにわざと寵愛を向けて、他の囚人からリンチされるように仕向けた。真性のサディストで、囚人の脱獄をわざと容認し自らライフルで狙撃したり、メロウリンクの裏には黒幕が存在すると考えて拷問し致死量ギリギリまで自白剤を投与したりした。暴徒鎮圧用ATであるライアットドッグで出動する。
ガナード
声 - 岸野一彦
第7話に登場[1]。元プランバンドール機甲大隊所属少尉で、バンディットと呼ばれる山賊のリーダー。メロウリンク、ルルシー、キークが乗っていたバラシュトラ山系を走る大陸横断鉄道の貨物物資(ヂヂリウム)を狙い襲撃してくる。プランバンドール・スキャンダル後、ヘルメシオンから大した褒美も与えられずに閑職に追いやられたらしく、恨んでいる。死の間際、自分たちの背後に黒幕が存在することをメロウリンクに示唆した。機体の各所にロールバーを装着した赤いスコープドッグを愛機としている。
ガルボネール・J・ボイル
声 - 兼本新吾
第8話から第11話に登場[1]。元プランバンドール機甲大隊所属少佐で、現在は第18メルキア方面軍第2師団特殊機甲部隊隊長。武人としての誇りを持った軍屈指のタフなボトムズ乗りであり、部下からの信頼も厚い。戦後もヘルメシオン准将の指揮下にあり、メロウリンクの抹殺と一緒に逃亡中の姪・フルレル(ルルシー)の身柄拘束を命令され自らのAT中隊5機を率い出撃。ゴーストタウンとなっているケラマの街に追い詰めた末フルレル奪還に成功。この時対峙したメロウリンクに「1人で脱出できたら相手になる」と言い残して去る。その後生存率0.01%と思われた危機を逃れてヘルメシオン家に乗り込んできたメロウリンクの追撃をかわし、ヘルメシオンをコーザシティにあるメルキア方面軍基地に送り届ける際に再戦を約束。ルルシーの身柄を保証した上で一騎討ちに臨む。
無骨で潔い性格から、姑息で陰湿なヌメリコフとは全くそりが合わない。その一方で、生身でありながらたった1人無謀とも思える戦いを生き延びてきたメロウリンクを、1人の武人として高く評価している。軍としての命令には背かないが、ヘルメシオンが関与するPS計画を「軍人を唯の機械にする計画」と批判し、プランバンドール・スキャンダル以降自ら深く関わり合う事を拒みつづけている。スコープドッグの山岳戦用バリエーションであるバウンティドッグ(指揮官仕様)に搭乗する。
ヌメリコフ
声 - 三田松五郎
第5話と第9話に登場。階級は大尉で、メロウリンクの復讐のきっかけとなった軍事法廷では検事を務めた。ヘルメシオンの腰巾着。性格は陰湿で居丈高だが実際は根性無し。隙を見せてルルシーに逃げられるなど、明らかに軍人としての才覚には疑わしいものがある。ボイルとは顔を合わせるたびにお互い厭味を言い合う犬猿の仲。実はルルシーの父を事故に見せかけ殺害した実行犯だった。ケラマでの作戦でメロウリンクの死亡確認を怠ったボイルに代わり、ヘルメシオンからメロウリンク討伐を命じられる。戦闘においてはチェーンガンを装備したライト・スコープドッグ(スコープドッグの一部装甲をはずして軽量化したもの)に搭乗する。
オスカー・フォン・ヘルメシオン
声 - 阪脩
第7話から第11話に登場。階級は准将。元プランバンドール機甲大隊の作戦参謀であったが、事実上大隊そのものを私兵化していた。狡猾な野心家で、自分の地位向上のためには手段を選ばず、用済みになったら味方でさえ容赦なく切り捨てる。ヘルメシオン家の資産を狙って実の兄であるフルレル(ルルシー)の父をヌメリコフを使って殺害した。期せずして再会したフルレルに遺産放棄のサインを強要するも拒絶される。表向きにはプランバンドール・スキャンダルの黒幕と噂される人物だが、彼もまたギルガメス軍上層部の巨大な計画の駒の1つに過ぎなかったことが後に判明する。